おねしょ・夜尿症はお子さんの病気なのかもしれません

共働きが一般的な現代、朝の仕事は少ないほうが楽ですけれど、またやってしまったお子さんの「おねしょ」。

あわててシーツを洗濯して、シーツの下の防水シートを拭いて… これだけで時間が過ぎていきます。 しょんぼりしている子供を叱り、「早くご飯を食べなさい!」と怒鳴り散らして子供を学校や保育園へ。そして、あなたはあわただしく会社へ
 
毎日こんな感じの毎朝を過ごしている方多いと思います。
 
子供のおねしょは気の病などすこし前まで言われていました。
 「叱りすぎ」「お母さんがきついからよ」「早く治さないと…」などと何の関係も無い人格を問われることを他人に言われます。また、隠し通すという意識からお子さんを叱ったり責めたりもします。
 
しかし、最近ではおねしょや夜尿症は「抗利尿ホルモンの夜間分泌不足」や「夜間の膀胱容量が未熟」が原因とされています。

 

おねしょと夜尿症の違い

普通のお子さんでしたら4~5歳児になると、夜間の膀胱のためも安定してきて、しかも夜間の尿量も減ってくるので、70~80%のお子さんはおねしょをしなくなってきます。しかし、小学校入学のときにおねしょをしているお子さんの割合は10~15%います。
 この小学校入学前を「おねしょ」、入学後を「夜尿症」と位置づけています。
 
おねしょ・夜尿症の罹患率は幼稚園年少時で15%、小学校3年生で8%、小学校5,6年生で5%います。
 夜尿症の罹患(りかん)率は諸外国と日本とで同じとされ、人種差に関係なく学童期の子どもによくみられるものです。

 

原因は?

おねしょ・夜尿症の原因は排尿神経の未発達などがが原因です。

 

 夜間の尿量が多い(抗利尿ホルモンの夜間分泌不足)
 夕方以降の水分摂取量が多いと、夜間の尿量が多くなります。しかし、夕方以降の水分摂取量が適当でも、夜間の尿量が多い子どもがいます。夜間の尿量をコントロールするのに重要なのが、抗利尿ホルモンです。これは、脳から分泌されるホルモンで、昼間少なく、夜になると多く出ます。そのため、夜につくられる尿量は昼間につくられる尿量よりも少なくなります。抗利尿ホルモンの分泌のリズムは、通常、成長とともに整ってきますが、夜尿症の子どもの中には、昼間は普通の子どもと同じなのに、夜だけ抗利尿ホルモンの出方が悪いため、夜間の尿量が多くなっていることがあります。

 

 夜間の膀胱容量が未熟(不安定膀胱)
 夜間の膀胱機能は子どもの成長とともに発達していき、夜間は昼間の1回の尿量の1.5~2.0倍はためられるようになり、4~5歳になると夜間トイレに一度も行かなくてもよい位のおしっこをためられるようになります。しかし、夜尿症の子どもの中には、膀胱の機能が未発達で、膀胱のためが小さいことがあります。また、寝る前に排尿しても全部出せずに残尿が残る場合もあります。

 

 睡眠の影響
 尿意を感じると、夜間に目覚めてトイレで排尿する子どもがいますが、目覚めない子どももいます。子どもが尿意を感じて覚醒できないのは子どもの睡眠が深いためであり正常です。夜間尿量の減少、夜間膀胱容量の増加は睡眠の質に影響されているのではとの考えもありますが、まだ充分に解明されていません。

 

 心理的ストレス
 6ヶ月から1年以上の間なくなっていた夜尿が、突然始まる場合は、ストレスが原因となることがあります。下垂体のすぐ上に視床下部というところがあります。視床下部は情緒や感情をコントロールしているところでもあり、自律神経と深くかかわっているため、強いストレスがかかると、自律神経の働きが不調となり、これが夜尿の原因につながることがあります。

 

 膀胱や腎臓の器質的な異常など
 頻度は多くないですが、夜尿症の中には、膀胱や腎臓に器質的な異常が原因であることがあります。昼間もパンツが濡れること(昼間遺尿症)がある場合は、夜尿だけの子どもに比べて、器質的異常が多いことが知られています。

 

小学校入学後、まだおねしょ・夜尿症をしているようなら医療機関を受診しましょう。
 

 


毎晩

週4~6回

週2~4回

週に1回以下

 

5歳

毎晩     B

週4~6回  A

週2~4回    A

週に1回以下 A

 

6~7歳

毎晩            C

週4~6回    C

週2~4回    A

週に1回以下 A

 

8~9歳

毎晩            D

週4~6回    C

週2~4回    C

週に1回以下  A

 

10歳以上

毎晩            D

週4~6回    D

週2~4回    C

週に1回以下 C

 

 

 Aの場合 家庭で経過を見る。

 Bの場合 家庭にて生活改善を行いながら経過観察をする。

 Cの場合 家庭にて生活改善を行い、それでも改善しなければ医療機関を受診する。

 Dの場合 医療機関への受診が望ましい。

 

生活改善

夜尿症の多くは自然軽快していくことが多く、また夜尿が身体に悪影響を及ぼすものでないことから、とかく放置されることが多い病気です。
 しかし、夜尿が学齢期まで持続している場合には、夜尿をしていることでお子さまが自信を喪失し、心理面、社会面、生活面に様々な影響を与えることがあります。このような影響は、ストレスとなって夜尿の消失時期を遅らせる要因ともなるため、なるべく早く治療してあげた方がよいといえます

 

幼児期

幼児期の夜尿は、もう少しゆとりを持ってみてあげていい場合がほとんどです。ご家族は、あまり神経質になったり、深刻になったりしないで、前の年の同じ季節を思い出し、夜尿の回数がどのように変化したのかということを観察しながら、ほどほどの生活の改善を行うことが大切になります。
 ただ、夜尿だけでなく、日中に漏らしてしまう場合などは、幼児期であっても医療機関などに相談することをお勧めします。
 
ご家族は、おねしょがあっても、「起こさない」「怒らない」「焦らない」の3点を念頭にお子さまに接することをお勧めします。

また、おねしょをしなかった朝などは、たくさんほめてあげるのもよいことです。

 

起こさない
 毎日何度も夜中に起こすと睡眠リズムを乱し、夜中の尿量を調整する抗利尿ホルモンの分泌を減らしたり、夜間の膀胱のためを悪くしたりして、夜尿がひどくなる原因になることもあります。

 

怒らない
 おねしょは、しようと思ってするのではないため、いくら怒っても治るものではありません。いびきをかく人に“かくな”といっても、治りませんよね。

 

焦らない
 夜尿の原因はさまざまです。夜尿の原因は子どもごとに違います。ほかの子や兄弟と比べてもあまり意味がないので、親が焦らないことも大切です。

 

具体的な生活指導
 水分の摂取時間、摂取量に少し注意する
幼児期は、習慣的に水分を多く取っていることがおねしょの原因となることがあります。最近の子どもたちは「かみかみ、ごっくん」(咀しゃく)がおろそかになっていて、隣にコップを置いて水や牛乳で流し込むような食べ方をする子が見られます。水分摂取に関しては、心持ち、朝と昼の水分を多めに、夕食時以降の水分や塩分の摂取を控えるようにしましょう。ただ、この幼時期は厳しい生活指導は必要ありません。
 

寝る前にはトイレに行く習慣を
 寝る前にトイレに行くことは、膀胱に残った尿を空にする意味でとても重要です。子どもが自らトイレに行くように、習慣をつけましょう。

 

昼間のトイレを促さない
 子どもがもじもじするとつい「トイレに行きなさい」と促してしまうご家族の方がいますが、これもおねしょにはよくない場合があります。行きたくなったら自発的にトイレに行くという経験がないと、尿をためておくことができなくなります(膀胱が大きくなりづらい)。

 

冷えに対しても配慮
 夜尿を悪化させる要因に冷えがあります。夏場におねしょがなくなった子どもが、秋から冬には、おねしょがみられることはよく経験することです。このような子どもは、冷えが原因のこともあるので、寝る前にお風呂に入って体を芯から温める、布団を少しだけ暖めておくなどの配慮が勧められます。

 

おむつの使用
 「おむつの使用は、おねしょを長引かせるの?」という質問は多くあります。幼児期でも、学童期の子どもでも、おむつをしているからおねしょが長引くということはありません。お子さまが嫌がらないようなら、後片付けが楽になりますので、使うことは特に問題ありません。

 

 

学童期

学童期のおねしょは、「夜尿症」と呼ばれます。夜尿症は、小学校低学年で約10%、小学校高学年で約5%にみられるポピュラーな病気です。学童期になると、キャンプ(合宿)や修学旅行といった宿泊を伴う行事があるため、心配になることが多くなります。
 小学校1、2年生で週に数日の夜尿頻度であれば、特に対策も急ぐ必要はありませんが、毎晩、あるいは週の半分以上夜尿をしている場合は、適切な対策を取らないと長引くこともあります。生活指導を行うとともに、心配であれば、かかりつけ医に相談してみましょう。ただ、すべての先生が夜尿症を診ることができるわけではないので、受診前に医療機関に電話で診療の可否を確認することが勧められます。
 
ご家族は、夜尿があっても、「起こさない」「怒らない」「焦らない」の3点を念頭に生活指導を行います。夜尿をしなかった朝などは、たくさんほめてあげるのもよいことです。
 ただ、自己流での生活指導は度が過ぎると思わぬことが起こる危険もあるので、あまり頑張り過ぎないことも大切です。

 

規則正しい生活のリズムの確立を
 膀胱や尿道のはたらきを調節している自律神経は、規則正しい生活をしていないと、上手くはたらいてくれません。薬で治療することになっても、生活のリズムがしっかりできていないと効果もでにくくなります。規則正しい生活は、夜間の抗利尿ホルモンの分泌にも好影響を及ぼすと考えられています。毎日一定の時間に起きる、寝る、食事するようにしましょう。

 

水分・塩分の摂取リズムを見直す
 夜間の尿量が多いタイプ(多尿型、混合型)には、重要な生活指導です。

 

水分摂取リズムを意識する
 夜尿があると、夜間の水分を減らすようにしているご家族が多いと思います。水分摂取で大切なことは、水分を制限するだけでなく、日中に多く、夕方から減らすというように、水分摂取リズムを意識することが重要です。具体的には、朝から午前中にたっぷりとって、午後から多少控えめにし、夕方から制限する。特に、就寝前2~3時間は飲水、飲食をしないようにするのが原則で、やむをえないときでも200mL(可能であれば100mL)までにすることが勧められます。

 

牛乳の摂取について
 牛乳を多量に飲むと、蛋白質、カルシウムが過剰となり、尿量が増えて、膀胱のためも悪くなります。普通に食事がとれていればカルシウム不足にもなりませんし、背の伸びにも影響しません。飲みすぎないようにしましょう。

 

塩分は控えめに
 塩分をとりすぎると喉が乾いて、その結果、水分をとりすぎることになります。一日の食事の塩分を控えめに。また、スナック菓子には塩分がたくさん含まれているので、できるだけ少なめにしましょう。

 

排尿抑制訓練(日中おしっこをがまんする訓練) 昼間も夜間も膀胱におしっこをためられないタイプ(膀胱型)には、重要な生活指導です。
膀胱のためを増やすには、おしっこのがまん訓練が有効です。帰宅後、尿意を感じたときに、おしっこをぎりぎりまでがまんさせる訓練です。
 がまん尿量の目安は、6~8歳で150mL、9~11歳で200mL、12~15歳では300mL以上はためられるようにします。しかし、がまんしすぎると、膀胱にたまっている尿が膀胱から尿管から腎臓まで逆流して、腎臓をいためてしまうおそれがありますので、上記の各年齢で300mL、400mL、500mLを超えてまで、無理してためないようにしましょう。

 

冷え対策
 冷え症状は夜尿を悪化させます。
 秋から冬に夜尿が後戻りしたり、手足が冷たい、しもやけができやすい、というように、冷え症状を認めた場合には、寝る前にゆっくりお風呂にはいり、ふとんをあたためておくと改善します。入浴剤も効果的です。

 

治りやすい、治りにくい

夜尿は、夜間のおしっこをためておく膀胱の大きさと、おしっこの量のバランスで決まります。膀胱の大きさより尿が溜まる量が多ければ尿意を感じます。そこで自分で認識して起きることだできればおねしょ・夜尿はしません。また、抗利尿ホルモンの夜間充分に分泌できればしなくなるのです。
 
朝方、おねしょ・夜尿をしてしまうのは治りかけているもう一歩の段階です。抗利尿ホルモンが夜中に充分出てきはじめていてもう少しでおねしょ・夜尿を克服できる一歩手前なのです。また、膀胱もだんだん発達してきて夜間出る尿をためておくことだできてきている証拠です。もう少しの努力です。
 一般的に夜尿症の治癒過程は、就寝後の早い時間帯にしていた夜尿が、徐々に朝方にシフトしていき、その後、夜尿をしない日が出てきて、頻度も減少して、治癒へと向かうのが一般的です。
 
それに対して小学校入学時点で寝てから4~5時間で一度おねしょ・夜尿症をしてしまい、また明け方おねしょ・夜尿をしてしまう子供は病院での治療が必要です。

 

 

医療機関で受けられる治療

薬物治療やアラーム治療は、医療機関で受けられる治療です。
 抗利尿ホルモン薬(デスモプレシン酢酸塩水和物)
 点鼻(スプレー)して鼻の粘膜から吸収される薬剤で、尿を濃くして尿量を少なくする作用を持つ薬剤です。

 

 抗コリン薬
 飲み薬で、尿を多く膀胱にためられるように、膀胱機能などを安定させる薬剤です。

 

 抗うつ薬
 飲み薬で、もともとはうつ的な状態を明るくしてくれる薬剤で、眠りを浅くする作用とともに、弱いながらも抗利尿ホルモンの分泌を促す作用と抗コリン作用を持つ薬剤です。

 

 夜尿アラーム
 パンツに水分を感知するセンサーを取り付けておくと、夜尿の水分を感知し、アラームが鳴ります。子どもがそのアラーム音で排尿を抑制しているうちに、膀胱容量が大きくなっていくといわれています。
 アラームで覚醒排尿を促すのが目的ではなく、寝ている間の排尿抑制訓練と考えてください。

 

 心理カウンセリング
 6ヶ月から1年程度みられなくなっていた夜尿が突然再燃したような夜尿症(二次性夜尿症)など、ストレスが夜尿に関係する可能性が高い夜尿の場合選択されます。

 

 手術治療
 泌尿器に器質的な疾患がある場合には、手術療法も行われることがあります。

 

 

どれくらいよくなるの?

 

生活指導
 夜尿症のタイプにもよりますが、適正な生活指導によって生活リズム(食事や水分の摂取時間、摂取量の見直し、おしっこのがまん訓練など)を改善するだけで、数ヵ月で約2割が改善します。ただ、タイプにあった生活指導をしても改善しない夜尿症に対しては、以下の治療を生活指導とともに実施します。

 

 薬物療法
 お子さまの夜尿症が多尿型(夜間尿量が多いタイプ)の場合は、抗利尿ホルモン薬の点鼻投与(スプレー)により、7~8割が改善します。
 膀胱型(膀胱容量が小さいタイプ)の場合は、抗うつ薬や抗コリン薬の投与により、約3割が改善します。
 多尿型と膀胱型の両方を有する混合型では、抗利尿ホルモン薬、抗うつ薬、抗コリン薬を併せて投与することがありますが、その効果は3~4割に留まります。
 夜尿アラーム 膀胱型(特に夜間のみ膀胱容量が低下している解離型)の夜尿に効果が期待でき、約5割が改善します。
 
なお、これらの改善率は短期間(数ヶ月)における単独治療の効果であり、種々の治療を組み合わせて行うことや継続的な治療を行うことで、これらの改善率は高くなり、治癒率も自然経過の数倍は早まります。
 
各治療の効果は、夜尿症のタイプ、性別、年齢、夜尿の頻度、夜尿の時間帯、昼間のお漏らしの有無、季節などの影響を受け、毎日みられる夜尿が数ヶ月で治癒することはまれで、根気よく治療を継続することが大切です。
 タイプで言えば、多尿型<膀胱型<混合型の順で治療に要する期間が長くなります。
 
いずれにしても、タイプにあった治療を受けることによって、治療を受けないで自然経過をみるよりも早く改善していきます。

 

 

家族の励ましが完治への良薬になります

お母さんが怒っていなくても、5~6歳になれば自分が悪い事をしているという意識は芽生えます。あともう一歩なのはわかっていますが、それを乗り越える事ができない自分に子供ながらもどかしさを感じています。
 
そんな時な必要なのは家族の励ましです。
 でも、ただ「頑張れ がんばれ」といわれても子供にはプレッシャーに感じてしまうこともあります。

 


そんなときは家族みんなで同じ経験をして励ますという方法が効果的です。

 

(健やかTプラザ より)

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